危機感と平常心と

今年の夏の暑さは異常でした。専門家も「災害」と呼ぶべき状況であったと言っています。これは、日本だけでなく、世界各地でも同様であったようです。この異常気温は、未曽有の大水害を各地に起こし、また大規模火災も引き起こしています。

 この異常さに、学者たちも気温の高温化に関する警告を発しています。このまま気温上昇が進んで行くと、弊害は徐々にではなく、階段状に現れて来、地球の生命環境が激変する可能性が高いと言います。決していい加減な話ではないでしょう。

 さて、このように、ともすると不安にかられる民心を見透かしたかのように、キワモノの預言者も現れるものです。自然界の異変、壊滅的大地震や火山の爆発などを期限付きで予告し、人々を惑わす本が出てきます。ひともうけしようということでしょうか。なかなか難しい時期です。

 不安の時代には二つの心がけが大切だと思います。ひとつは、当面の危機を謙虚に受け止める冷静さ。もうひとつは、いたずらに舞い上がらない平常心。

 厳しい現実を受け止めたくないというのが一般の心理でしょう。「温暖化」が語られると必ず、これは人為的なものではなく、自然界の変動の一環にすぎないという気やすめを言う人がいます。本気でそう思っているかもしれませんし、経済発展に支障がある、不都合な真実を覆い隠す政治的意図を背景にもっている可能性もあるでしょう。

ともあれ、生命の安全をおびやかすような、世界同時多発の異常高温とそれに伴う諸災害を軽く見てはいけないでしょう。温室効果ガスを多量に排出してきた人間の生産活動のありようを、検証し、対応すべきでしょう。

 しかし一方、危機感を募らせるあまり、すべてに否定的、悲観的になりすぎては、健全な日常生活を見失い、右往左往することになってしまう危険もあります。平常心に立って、冷静に状況を受け止め、日常のわざに励みつづたくあります。

 「危機感」と「平常心」この二つが今求めらているのではないでしょうか。