歴史をみちびくもの

 昨今の殺伐としたわが国の政治の世界、そして社会のありさまを見るとき、また、北朝鮮やそれをとりまく世界の動きを見るとき、深く心が痛みます。国内外、事情はさまざまですが、何か似通った権力者のありようが垣間見えます。それは、権力を持つものが、自国のみの利益、自分の権力の保持を恥も外聞もなく追い求める姿です。目的のためには手段を選ばない権謀術策がまかり通っていると言いう感じです。

 しかし、世界の歴史を見るとき、このような状況はいつもあったと言えるのでしょう。

 中間時代のユダヤ文学であるダニエル書には、権勢を誇る新バビロニアの王ネブカドネツァル王にダニエルを通じて告げられた神のことばが記されています。ダニエルはやがて起こる王の没落を告げた後、「あなたはついに、いと高き神こそが人間の王国を支配し、そのみ旨のままにそれをだれにでも与えられるのだということを悟るでしょう」(ダニエル書4・22)と語ります。 

 また、終末の書として知られるヨハネの黙示録には、歴史の過程において決定的な没落を喫した「獣」(サタンの勢力)について、「この獣の頭の一つが傷つけられて、死んだと思われたが、この致命的な傷も治ってしまった」(黙示録13・3) と記されています。これらの章句が告げるのは、諸権力の興亡を貫いて、真に世界を導くのは創造主なる神であるということ、しかし、歴史の過程においては、愚かな支配がしたたかに現れるのだということを示唆します。ともあれ、この時代にも、創造主、救い主なる神のまことの平和が前進することを祈るものです。                       「