真に問われるべきもの

 「森友学園」の学校開設事業に伴う用地取得をめぐる疑惑に関係するニュースが毎日報道されています。国有地が格安で森友側に提供されたことで、この事業に対する政権の関与の有無に国民の関心が寄せられています。

 確かに、開設に向けての異様なまでの関係の役所の厚遇を見ると、政治家の影響力の解明など、明らかにされるべきことがありましょう。

 けれども、報道の焦点とはなっていませんが、実はいちばん大きな問題というべき事柄があります。それは「教育勅語」の問題です。それは、かつて日本を誤らせた国家主義と深く結びついた戦前の価値観を象徴するもの、日本国憲法の基本原理に根本的に抵触する教育思想です。「大日本帝国憲法」下の教育理念です。森友学園の理事長はこれを正面に掲げて、国家主義教育を推し進めてきました。このような法人がノーチェックで認可されていること自体が異様ですが、総理夫妻、防衛大臣はその時代錯誤ともいうべき方針を公然と称賛してきた、しているわけです。そのような姿勢は、一昨年、現憲法の規定を無視して、「平和安全法案」を閣議決定し、国会の強行突破をした姿勢に直接つながるものと言えます。

 しかし、これまでのところ、マスコミからも、野党の動きの中からも、この点を指摘する声をあまり聞きません。なによりも、今度のことがあって多少は下がってはいますが、依然世論調査での内閣支持率は5割を保っています。寒心に堪えません。憲法のよって立つ平和理念を守る義務を憲法自身が国民に与えています。「森友」事案の背後にある本当の危機に、もっともっとわたしたち国民が気づき、対応しなければならないとおもいます。