世界の成り立ちの不思議

 アメリカのノーベル賞物理学者、レオン・レーダーマンが量子物理について書いた本を最近読みました。著者はこの本で特に、最近発見されたヒッグス粒子の意義について書いています。それがいかに宇宙全体に存在し、他の大部分の粒子に質量を与えるのかを解説します。そして、彼は、量子物理の探求は道半ばであり、したがって宇宙の成り立ちの解明もまだまだこれからであると論じます。

 専門家ではない筆者にはすべては理解しきれないですが、その説く物質そして宇宙の成り立ちについての解明はとても興味深いものです。子供のころから物理現象に興味が深く、特に磁力や重力、電気の力が空間を介してどうして伝わるのか不思議で仕方がなかった者にとって、あらゆる物理現象、エネルギーを統一的に理解することを可能にする、そのカギである量子物理学が驚くべき進展を見せつつある時代に生きているということはすごいことだな、と思わざるをえません。小さいときからの疑問についても、素人なりになるほどと納得できつつあることは個人的にたいへんうれしいことです。

 あらゆる物質とその運動は不思議な量子のふるまいによって成り立っている、その仕組みを知るにつけ、宇宙の摂理に驚嘆せざるをえません。知れば知るほど、それを偶然や不作為に帰することはできないように感じます。

 クォーク、レプトン、ゲージ粒子、ヒッグス粒子そして、宇宙の全質量、全エネルギーの9割以上を占めるというまだ解明されていない暗黒物質、暗黒エネルギー、これらの成り立ちと相互のかかわりの解明の進展に期待はふくらみます。