時代は巡るか?

 最近の国内外の情勢を見ると、正直気が重くなります。昨年の今頃、わが国の憲法の大きな特色である「平和主義」を骨抜きにしてしまう、いわゆる「安保法案」が国会を通りました。あの戦争の惨禍と、それをもたらした過ちへの反省はいったいなんであったのか、と思わざるを得ない状況が続いています。

 国外では、自己の政権を維持するために、大多数の国民を戦火の恐怖にさらして恥じないシリア政府とそれを支援する大国、自国の利益を確保するためになりふり構わず領海拡大を図る中国、これまたなりふりかまわず、世界における威信を保とうと、旧領土の武力接収、反社会的国家(?)の支援を恥じないロシア、品格とはおよそ縁のない差別的、挑発的な発言で大衆を取り込もうという、他ならぬ民主主義の庇護者を任ずるアメリカ合衆国の大統領候補などが目白押しといった現状で、これが世界のリーダー、またはリーダーを目指す人々かと思うと、暗澹たる気持ちにならざるをえません。

 筆者は、第二次大戦後に生まれ育った世代で、冷戦の時代ではあったものの、日本も世界も、戦争の悲惨を避け、平和を増進させようとの空気が濃厚であったように思います。しかし、上述のような現状を見ていると、今の指導者たちは、あの大戦の悲惨をどう考えているのか、あの狂気の歴史をどう記憶しているのかと思わざるをえません。

 誰かが言ったように、歴史は繰り返されるのでしょうか。人間は少しも進歩す

                                   ることはないのでしょうか。

                                   ともあれ、内外の趨勢はどうあれ、わたしたち一人一人が歴史に学び、良心

                                   の声をしっかり保持してゆかなければならないと考えます。力によって、永続

                                   的な繁栄を獲得することは決してできないのですから。