憲法記念日

               記念日

 5月3日は憲法記念日で、例年護憲、改憲それぞれの立場で様々な催しが行われていますが、今年は、昨秋の安保法制の採択と3月の同法施行を受け、いろいろな意味合いで重い記念日であったと思います。

 異様であったのは、安保法制に危機感を抱き、反対する立場からの運動が一定の盛り上がりを見せていたにもかかわらず、テレビの報道がこのような動きをほとんど伝えなかった事です。むしろ、筆者が見たニュースでは、国家主義的立場から憲法改正を訴える集いの模様を詳しく伝えていました。

 昨年夏、政権が、集団的自衛権の行使を閣議決定した際、国会周辺に十万といわれる民衆が終結した時、その空撮映像をテレビニュースが流したことで、総理が「激怒」したと伝えられました。おかしなことです。これだけの国民的出来事を報道するのが当たり前であるにもかかわらず、マスコミを威嚇したのです。以後、この種のデモの報道はきわめて限定的なものになってきました。

 報道管制、自粛が目に余る現状こそ、いかに現憲法が危うくなっているかを証明しています。先ごろ訪日、調査した国連の「表現の自由」査察官は、日本の言論に関する状況を憂慮すべき段階にあると指摘しました。また、ジャーナリストの国際団体による報道の自由ランキングでは、日本は今、世界で62番目となっています。もはや、先進国とは言えない状態と言えます。

 現憲法の基本をなす平和主義は、戦争の悲惨への痛切な反省から生まれたことを忘れてはならないと思います。だからこそ、戦後70年、国民は憲法を支持し続けてきたのです。この原点をおろそかにし、安易に平和主義を投げ出すようなことはあってはならないと思います。