まことの教育゜

 パキスタンの少女、ユスフザイ・マララさんのノーベル平和賞受賞が過日報道されました。わたしの観たテレビのニュース番組では、日本では当たり前の教育だが(日本はこの点で恵まれているが、とのニュアンス)、それを受けられない子供が世界には大勢いるといった論調でした。

 けれども、わたしたちの国で果たして「当たり前」の教育がなされているのだろうか、とマララさんの演説を聞きながら考えさせられました。ほんとうの教育は、古今東西、内外に広く学び、自分で考え、生きる自立した人を育成することでありましょう。それは、単に受験のための知識を伝えることであったり、時の為政者にとって都合のよいものの考え方をするステレオタイプを育てることではないでしょう。しかし、歴代のわが国の教育当局は、一貫して、国家に奉仕する人材の育成を目指して行政にあたってきました。昨今特に、一定の価値観、歴史観に従順な国民を育成する意図が明瞭になっています。自立的な人間性を育成する道からははるか離れてしまっています。

 マララさんは、時の権力、抑圧する勢力に抗して、「学ぶ」権利、その必要性を命がけで訴えています。その澄んだ、不屈のまなざしは、「真の教育」が何かをわたしたちに問いかけているのではないでしょうか。