命のとうとさ

 オーストリア出身の物理学者、E.シュレディンガーは、分子生物学の基礎を据えた人ですが、その著「生命とは何か」の中で、宇宙の根源が量子作用であることに触れながら、生命活動の根源は、一定数の量子から成る一つの分子のようなもの、染色体(今日ではより正確に核酸とされる)であると断じます。しかし、生命活動における量子のふるまいは、その他の領域でのそれとはまったく異なるものだと驚嘆しています。この宇宙に命が存在することの驚きと重さを思います。

 ひるがえって、昨今の世の中を見ると、人でもペットでも、それらの命があまりにも粗末に扱われていることに驚くと共に、痛みを感じないではいられませんね。もっともっと、この世界に生命が存在することの驚きと価値にお互いの目が開かれることをと願わざるを得ません。