季節の妙

 日に日に秋が深まってゆきます。わたしの散歩道は、歩くたびに紅葉が進んでいます。モミジの紅が先頭を切って、われわれの目を楽しませてくれていましたが、ここ数日の間に、黄色がかなりの勢いで林の中で目立ってきています。

 春から秋は、どちらかというと道端の草花を目で追いながら歩いています。でも、この時期になると草花はほとんど衰え、枯れて来ています。その代わりに、今まで目立たなかった木々が、その葉の色づきによって過ぎゆくわたしたちの目を引くようになります。いきおい、目は樹木を追うことになります。林の美しさの再発見です。

 季節がもう少し進むと、木々は葉を落とし、木立や枝がその姿を露わにすることとなります。これまた初冬の楽しみの一つとなります。

 一年の巡りの速さを思います。とともに、変わらず巡りくる季節の営みに深い感慨を覚えるものです。そして、それを見守るわれわれは、確かに歳を重ねて往くことです。この一年、自分にとっていかなる時間であったのでしょうか。