いのちの再生産

 少し前に、飼っているフナが卵を産みました。水草がなかったために、水槽内のいくつかの石にたくさん産みつけました。それで、卵のついた石を別の入れ物に移して様子を見ました。

 二、三日すると、はじめ透明だった卵が黒っぽくなり、四、五日目になると次々孵化しました。数十匹です。ボウフラのような小さな稚魚が、ガラス面に、ぶら下がるようにくっついていました。さらに二、三日するうちに、ガラスを離れて遊泳するようになりました。まだ透明で、内臓らしいものは見えません。数えて見ると、100匹以上はいるようです。そのひとつひとつが確かに命をもっていて、少しずつ成長していきます。

 ところが、さらに日が経つうちに、百匹以上いたはずの稚魚が、減って来ました。そして、日が過ぎるにつれ、どんどん減って行くのです。こちらが慣れないので、環境の調節がまずいのかと、気を使ってみましたがどうにもなりません。最終的に写真に写っている二匹のみとなりました。すっかり数が減ってしまいましたが、ひと月余を経てもう立派?な魚のかたちになりました。一人前に泳ぎ回りながら餌をつついています。もう少し成長すると、赤や白の色も出て来るでしょう。

 まさか卵がかえるとは思ってもいなかったのですが、こうして命の継承をまのあたり観察させてもらって、あらためていのちの不思議、その再生産という出来事に感動しました。本当にいのちって、すごいですね。