結婚の危機

                ムラサキカタバミ
                ムラサキカタバミ

わたしたち夫婦の結婚記念日は6月でした。今年は、35周年で、来し方を振り返ると、短いようでずいぶん色々なことがありました。自分のことを考えると、まことに足りない夫であり、父親であったことを恥じるばかりですが、神が、深い忍耐をもって家庭を顧みていてくださることを感謝するばかりです。同時に、つれあいの忍耐にも感謝せずにはおれません。長年、共に歩み続けることのさいわいを深く覚えます。

 ところで、若い人たちと接していて、結婚というものに対する考え方がずいぶん変わってきているなと感じます。若い人に限らないかもしれませんが、世の中全体が、結婚とか、家庭とかいうものを、とても軽く考える風潮になっているように思います。安易な同棲、簡単に離婚(もちろん、当事者の方々にとってそんなに軽くはないと思いますが、以前と比べてという意味でです。)というケースがかなり多くなっているように感じます。

 結婚、家庭は、その社会の基盤ですが、それらがおぼつかなくなるということは、社会自体がもろくなることを意味するでしょう。危機的な状況です。そこからは、やがて日本の、世界の将来を担う子どもたちが育ってはきません。

 結婚にあっては、今と言う瞬間の、自分の満足だけを追い求めるのでなく、お互いが、広い心で相手を受け止め、時間をかけて共に成長していくという構えが欠かせません。長い目で危機を乗り越えるのです。

 町で、お互いをいたわりあいながら歩いているお年を召したご夫婦を見かけることがあります。お二人で、どんな山坂を越えてこられたのだろうか、と想像しながら、まぶしいような思いで、見させていただくことです。日本には「添い遂げる」という貴重なことばがあります。長く、ともに歩み続けるということの大切さを、もっともっと認識しなければならないと思います。