原発のあやうさ

　新政権は、将来の原発ゼロを打ち出した前政権によるエネルギー政策を根本から変更し、原発堅持を掲げました。「現実路線」とのことです。

　与党によっての現実とは、電力会社、一部資本家の利益を確保し、原発リスクもやむを得ないとすることのようです。福島を中心にこれだけの災禍ををもたらし、今なお多くの方々が避難生活を余儀なくされており、事故現場も今後数十年にわたって監視を怠れない状況にあるという事実は、現実ではないようです。第二、第三のフクシマは今後も起こり得ましょう。狭い日本、避難しきれずに、何らかの犠牲を受ける人々が多数出ることは必定です。それを、やむを得ないというのでしょうか。

　わが国は、ヒロシマ、フクシマと二度にわたって本格的な核の脅威にさらされた世界で唯一の国です。国を挙げて、このような「現実」に向かい合わねばならないのではないでしょうか。そして、原発断念を明らかにして退路を断ち、官民の叡智を結集して、代替エネルギーの開発と商業化に取り組み、以て世界の先頭に立つべきではないでしょうか。

　それにしても、今なお、事故現場にあって、放射能の危険と対峙しつつ、御労苦くださっている方々の働きと御健康が守られ、御苦労が実を結びますことを切に祈るものです。