チキンレース

   山手・バラ園にて
   山手・バラ園にて

 二台の車が向かい合って位置に付き、合図と共に猛スピードで相手に向かって走り出す。恐怖に耐えきれないで先にハンドルを切った方が負け、という決闘をチキンレースといいます。過日、中、北米をまれにみる大ハリケーンが襲いました。大都市ニューヨークも大変な風水害に見舞われた様子が報道されていました。これだけでなく、近頃は、世界的に強大な台風や低気圧に伴う強風、異常高温、異常低温、洪水や干ばつなどの異常気象が頻発しています。いわゆる地球温暖化によるものと考えられます。

 温暖化の進行により気象が凶暴化することは、早くから予測されてきたことです。そして、気温上昇は予測以上のペースで進んでいるようです。昨今の状況を見るとき、一刻も早く対策をと思うわけですが、これが一向に進んでいるように見えません。国連を中心に取り組みはなされているわけですが、国々の産業活動の事情から、なかなか一致した対応がとれません。経済発展を考えると、それどころではないという国々も少なくありません。しかし、各国の言い分はどうあれ、異常気象は日に日に進行しています。しっぺ返しは先進国、開発途上国を問わず、全世界のすべての国に必ずやってきます。各国の指導者たちには、この危機を回避する責任があります。けれども、当面の経済発展を優先し、この課題に取り組む意欲が感じられません。これは、次の世代への責任を放棄することではないでしょうか。それはまさに、人類と、凶暴化する異常気象とのチキンレースのように見えます。