ムカシトンボ

  草の葉に止まるムカシトンボ
  草の葉に止まるムカシトンボ

この夏、家族と共に、姉のいる埼玉の越生(おごせ)町に遊びに行きました。自然の豊かな所だと聞いていたので、楽しみにしていました。池袋から東武東上線の急行で1時間、坂戸で東部越生線に乗り換え20分ほどで終点「越生」駅に到着します。姉に迎えられて駅を出ると、鄙びた町の通りです。ちょうど観光案内所で無料のサイクリング自転車の貸し出しをしてくれていたので、姉の勧めでみんなでそれに乗り、地域を廻りました。猛暑の昼下がりで少し大変でしたが、町の様子を見て歩くには正解だったと思います。

 越生町は落ち着いた、昔ながらの農村地域と見えました。道沿いには田んぼや畑がひろがり、それを囲むように、なだらかな緑の丘陵が発達しています。平地には幾筋も水路が通じ、水もきれいです。

 姉の案内で、越辺川という川の川原に立ち寄りました。自転車を降り、水辺に行って裸足になり、川に入ります。岸辺近くの浅瀬には、川魚の稚魚が無数に泳いでいました。水量が比較的多い方にも行って見ました。魚影を探しているうちに、思いがけないものに出合いました。黒い羽根のトンボ、ムカシトンボです。思いがけない出合いに、すっかりうれしくなってしまいました。というのは、近年、農村地域も開発され、環境が変化して、地方でもあまり見かけられなくなってきているのです。筆者が子供のころは、雑魚取りで井水(田んぼに水を供給する古くからの水路)に行くと、日陰になった河辺の茂み辺りには必ず何匹かいて、飛び回っていたものです。しかし、最近ではほとんど目にする機会がありませんでした。ここでお目にかかるとは思ってもいなかったのです。それだけ、自然環境が良好なのだなと察せられました。ただ、見かけたのは一匹だけだったのが少しさびしくはありましたが。カメラを向けると逃げ回っていましたが、なんとか一枚は少し近くで撮らせてくれました。

 町での滞在は半日ほどでしたが、自然の豊かなたたずまいで、都内から1時間半足らずに、このような場所があるということが信じられないように思われました。姉の話では、春の梅から始まり、四季を通じて自然界の変化がとても美しいということで、機会があれば、別の季節にまたゆっくり訪れたいものと思わされました。

コメントをお書きください

コメント: 1
  • #1

    トンボ自然史研究所 (木曜日, 03 3月 2016 21:47)

    これを地元ではムカシトンボと呼ぶのですね?
    トンボの分類上の名前(和名)ではアオハダトンボになっています。
    どちらのトンボも水がきれいな流水に限られるので、棲み場所を大切にしたいですね。
    参考:ShimuraさんのHP:
    http://tombon.com/ak-aohada.html