サボテン

    小さいけどつやのいい丸坊主
    小さいけどつやのいい丸坊主

昨年のいつごろであったか、近くの店先で売られていた小さなサボテンの鉢を買いました。植物好きの筆者は、いつかサボテンに挑戦しようという思いをもっているのですが、なかなか機会がありませんでした。けれども、値段が手ごろであったので、ためしに一つ手にした次第です。購入した鉢は販売用で、ちょっと小さすぎると思われたので、一回り大きなものに移し替え、日当たりのよい場所に置いておきました。

 それから一年近く、気をつけて水やりをし、冬の寒さから保護していたのですが、サボテンに一切変化は見られませんでした。もちろん、枯れたり、腐ったりするわけでもありません。かといって大きくなってくるわけでもありません。小さな丸坊主は、いつまでたっても小さな丸坊主なのです。

 この春、従来よりも日当たりのよい場所に移しました。そして、この夏までを過ごしてきたわけです。当初、それでも変化は何もないように見えておりました。ところが、です。ここにきて、つまり八月も半ばを過ぎてから、よく見ると、わずかではありますが、変化を認めざるを得ない状況となっているのです!もとより画期的に大きくなったわけではありません。しかし、毎日対面している筆者の目に、確かに伸びている、ひとまわりいや半まわり大きくなっていると認識せざるを得ないことになっているのです。それが欲目でない証拠に、南にめんした側がより成長し、その結果、丸坊主の「つむじ」がやや北側にずれた感じに(!)なっているのです。

 それに気がついた時の筆者の喜びは、深く、大きなものでした。小さな、頑固な丸坊主が成長していた!親心ではありませんが、思いはさらなる成長そして、来年くらいには花がつくのでは、との不確かな可能性へと向かっているのです。

 事態が、こちらの思うように少しも動いていないように見える時にも、忍耐してこつこつと取り組んで行くなら、時間はかかっても、必ずいつの日かそれが動き出す、変化が始まることを、小さな堅い丸坊主は教えてくれました。